Introduction to τ-tilting theory and torsion classes
Date:
Lecture Talk in Zoom at Zoom
τ傾理論とねじれ類入門:分裂射影対象と広大区間の立場から
Abstract
多元環の表現論で重要な目標の一つは、加群圏やその部分圏の構造を調べることである。近年、[足立-伊山-Reiten, 2014] の論文「τ-tilting theory(τ傾理論)」で、「ねじれ類(torsion class)」という、拡大と商を取る操作で閉じた部分圏全体が豊かな構造を持つことが示された。彼らは、ねじれ類を「τ傾加群(τ-tilting module)」という加群と関連付け、さらにねじれ類の包含関係を加群の「変異」により記述した。この論文が現在の多元環の表現論の大きなトレンドを生み出した。 この講演での目標は、彼らの理論とその後の部分圏の理論を、以下の2つの概念を用いた新しい観点から理解することである。一つは、[Auslander-Smalo, 1980] により導入された「部分圏の被覆・分裂射影対象」の理論、もう一つは、τ傾理論の後に発展したねじれ類のなす順序集合と部分圏の理論、特に [淺井-Pfeifer, 2022] の「広大区間」の概念である。 講演では、古典的な傾加群や関手的有限部分圏の理論から始めて、これらの2つ概念を使ったτ傾理論の解釈を、なるべくself-containedに説明する予定である。